君と一番の恋をする
私はちょっとふくれながら、ショルダーバッグを肩にかけた。“デート”なんて言われてしまったら、少しは見かけに意識はしてしまう。


「よし、これでいいかな!」


やっぱり、声を出すと気持ちが上がってくる。
時間を確認してから、私はベッドから立ち上がった。
どんな服にしたらいいかわからなくて、ネットの情報に頼って手持ちから私なりに頑張って選んだコーデ。

生地が薄目の白いニットに茶色いチェックのロングスカート。今日は気温が低そうだからグレーのカーディガンを羽織った。
似合っているかどうかは別として、家着がメンズサイズの大きなTシャツ一枚の私にしては頑張ったほうじゃないかな。

陸人くんによると、今日の予定は【映画→カフェでお昼→街歩き】らしい。
いや、中学生カップルのデートかな!?というほど健全すぎるプラン。
しかもその映画の内容は、天才数学者の半生を描いたドキュメンタリー。

人を選びそうな映画だな……。というかチョイスが頭おかしい。
まーほが選んだらしいけど、あの人のことだから上映中の作品から目をつむって指をさしたやつとかに違いない。
侑人は喜びそうな内容だけど。
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