君と一番の恋をする
申し訳ないと思っているのか、このあと歩いている途中も陸人くんはずっとこんな感じだった。
全然気にしてない……といったらうそになるけど、そんなに落ち込まなくても、私は大丈夫だよって伝えたい。
でもさすがにそんなこと言えないので、だまって歩くことにした。

まーほたちを探しながらなにげない道の角を曲がろうとすると。
突然、斜め前を歩いていた陸人くんが立ち止まった。


「……先輩、帰りましょう」
「え、どうしたの?陸人くん」


そんなに急に気が変わることなんてあるだろうか、と思いそう尋ねる。
だけど、陸人くんはなんとも言えないような顔で大丈夫ですと言うだけ。
大丈夫、ではないよね。なにかあったのかな。


「ねえ、りくとく……」
「行きましょう」


無理矢理言いくるめられて、手首を握られた。
そのまま、来た道へ引っ張られていく。
抵抗せずに私はついていった。

……陸人くんの中の私はきっと、何が起きたのかって混乱してるはず。
だけど私は、一瞬見てしまった。

角を曲がった先で、まーほの肩を侑人が支えていたのを。
言い逃れはできない距離。
……これは、二人の関係がうまくいってるってことだから、喜ばしいことのはずなのに。

なんで、陸人くんは避けたんだろう。
その問いに、すぐに答えは出た。
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