君と一番の恋をする
てかあの人、どこまで知ってるんだ。ただ奈央ちゃんが、元気なさそうだったからそう言っただけかな。
当の奈央ちゃんはというと、涼しい顔でお弁当箱を包んでいた。

……そういえば、この二人って結構仲が良かったりするのかな。前に屋上に閉じ込められたときだって一緒だったし。文化祭実行委員で一緒ってだけにしては、仲がいいんだなと思った。
それで、今更妬いたりなんかはもちろんしないけど。


「私、これから委員会の仕事があるんだ。行ってくるね」
「うん、行ってらっしゃい」


席を立って教室を出ていく姿を見送る。絵筆ちゃんは図書委員会に入っていて、昼休みもよく仕事が入っていることがある。
……そうだ、絵筆ちゃんのことも、なんとかしないと。清くんと仲直りしなきゃ。今日の絵筆ちゃん、いつも通りだったけどやっぱりどこか元気がなかった。早めに解決しないと。


「ねえ、麻里花」
「え、なに?」

奈央ちゃんが話しかけてくる。


「麻里花は、失恋とかしたことある?」
「え?」
「……ごめん。忘れて」


俯いて、私から視線を逸らす。

……失恋、か。
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