ワケアリ(オカルトファンタジー)
ワケアリ






古ぼけたアンティークショップ。


全体を焦げ茶の壁や床、濃いオレンジ色の電灯に統一された、その店。


所狭しと並べられている調度品は、少しの疵や埃を身に纏いながらその店の中でひと時の安息を得ていた。


再び使われるその日に、向けて。


このアンティークショップは人が殆ど出入りする事のない、言ってしまえば穴場、本当のところを言うとただ単に流行っていないだけの古ぼけた店だ。


高架下にひっそりと佇むその店は、薄暗いそのトンネルのような通路を随分と歩いた突き当りで「こんなところに店があるわけがない」と言う場所に出来ていた。


店は電車が通るたびに壊れるのではないかと言うぐらいにギシギシとその古びた身体を鳴らし、調度品達はその音に怯えるかのように小さく震える。



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