ワケアリ(オカルトファンタジー)




声が聞こえる。


あぁ、またあの人が願いを込めて文字を書き記している。


あなたの望みとあらば、命に代えても、遂行いたしましょう。




シャク…




鋏の口を開く。


私は夜を待って、黒い服に身を包むとその家の近くへとやって来た。


この近辺は電灯が少なく、暗くてよくは見えないが、数人の記者達が、一軒の家の周りをうろついて、昼間は時たま通りがかる人へ聞き込み調査などを続けている。


毎日同じ光景。


ただ、今は夜も遅い所為で、人気が少ないので皆、気を緩めて身内と他愛ない話をしている。


私は一つ、息を付く。



「あなたの、望みとあらば…」



私は地面を踏み込むと、そこにいた人間の耳を切り落とした。


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