ワケアリ(オカルトファンタジー)
あなたの我侭に振り回されてくれる人など、私以外にいない。
私は鋏を心臓に向けて思いっきり突き刺した。
内臓の入っていた袋がブチブチッ、と切り裂かれ、中からボタボタと赤黒い液体が溢れ、滴り落ちる。
今まで痛かった、心臓に、本当の痛みが走る。それは、目の前がまっ白になるほどの、想像を絶する痛みだった。
しかし私はそれを抜き取って、さらに身体のいたる所へと刺し込んだ。
そんな力が何処にあったのかなど、わからない。
ただ、わかったのはもう一人の誰かが一緒に頑張っていたことくらいだろう。
沢山の穴が開いて、グロテスクなその中身が微かに見えそうになっている。
私は、倒れた。
間丘先生の、隣に。