ワケアリ(オカルトファンタジー)
古ぼけたアンティークショップ。
全体を焦げ茶の壁や床、濃いオレンジ色の電灯に統一された店。
高架下にひっそりと佇むその店は、電車が通るたびに壊れるのではないかと言うぐらいにギシギシとその古びた身体を鳴らし、調度品達はその音に怯えるかのように小さく震える。
カラン、コロン
「はー、重たかったー」
「………」
大きな声をあげながら最初に入ってきたのはチェスで、沢山の調度品の中を両手に荷物を抱えながら進むと、1m半ほどの幅がある、高さは膝ほどのその段差の前で靴を脱いで、奥へと進んで行った。
そこはリオンたちの生活するスペース。
リオンはその段差の隅に荷物を置いて、チェスが脱ぎ散らかしていった靴を無表情に眺めると、沈黙。そして片手で揃え、隅へと置いた。