ワケアリ(オカルトファンタジー)



「へぇー、そうなんだ。なんだか怖いね」



「指輪如きで縛れるとは思わんが……人間と言うものは実に、……」



言いかけて、リオンは沈黙を置いた。


そして、開口。



「何故か左手の薬指は、一番心臓に近いといわれていた」



「え、急に何」



「そこに従事する、束縛するといった意味を持つエンゲージリングを嵌めるということは、『命を捧げる』というような意味を持つと考えてもおかしくはないだろう」



「リオンー、アレコレ話が飛びすぎだよ、つまりは何」



「この指輪は、厄介な代物だ」



今までの長い説明から一転、簡潔な感想にチェスは間を置いて、呆れたようにため息をついた。


リオンが拾ってくる物の全てが厄介な物だということは、もう口にしない事にしている。


むしろ普通のものをリオンが手にしようものなら次の日は確実に嵐だ。


この店は、そういうものしか置いていない。

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