ワケアリ(オカルトファンタジー)
覚醒した意識はまず初めに、目が映し出す景色をそのまま脳へと認識させる。
カーテンから微かに漏れる太陽の光に当てられて、少し明るさを取り戻した、その部屋。
全体を白基調で保ちながら、所々の家具や雑貨をピンクにまとめている、少女らしい、部屋。
そこの主である茜は、嫌にすっきりとした、しかしズンと脳の中に重石を入れたような最悪と言える目覚めで起床した。
身体が、全体的に重たい。
咽喉が少し、枯れている。
首に残る、痛み。
その首に触れようとした瞬間、その指先は、滴に触れた。
そして、茜は自分が水を浴びたかのような大量の汗をかいている事に気付いた。
身体を起こして、鏡へと手を伸ばす。
一瞬、躊躇う間。
意を決して覗き込んだそこにはシットリと濡れた、梳かされていない髪をそのままにした、自分が写っていた。
そしてその首には少し赤く、首を絞められたような痕。