ワケアリ(オカルトファンタジー)



茜は一人、廊下の窓からグラウンドを眺めていた。


そこには次の授業が体育なのだろう、ジャージを着ながらちらほらと運動場へと集まってくる生徒が一人、また一人と増えていた。


その様子を眺めながら茜は、今朝の夢について思い耽っていた。


胸の少し下にある窓のサッシに手を置いて、溜息一つ。


指輪は袖に隠している。


結局アレは夢だと思う事にしてはいたが、首の痛みや、今はもう薄くなった痕も、夢の一言では片付けられなかった。


そういえば、と茜は自室にある窓を思い返していた。


換気のために窓を開けてから鍵を掛けた覚えがない。


鍵を掛け忘れていたので、変質者が入ってきたのかもしれない。


とはいえ、茜の自室の窓は、ベランダなどはついておらず、窓の向こうは、何もない空間。


そう、今見ているこの学校の窓のように、見下ろせば土が見える、そんな作りだった。


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