ワケアリ(オカルトファンタジー)


梯子でも使って上ってきたのだろうか。



しかし目の前で消えた。



疑問ばかりが残り、結局、人間のほうへの警戒を強める為、窓の施錠を徹底しようと結論付けると、次の授業へ向かうために窓から離れた。


瞬間。


肩甲骨辺りを強い力で押され、スカートのウエスト部分を持ち上げられ、文字通り、宙に浮いた茜は、そのまま、先ほどまで眺めていた、綺麗に植えられていた花壇へと落ちた。


叫び声とともに。


視界は何を映しているのか、脳は全く理解が出来ないままに、記憶に残らない映像をただ無意味に流し、漸く事態を察知し、脳が咄嗟に受身を取る寸前、空を仰いだその視界の片隅に、黒い影が、写りこんで。




ドス、…




重みのある土と石が混ぜ込まれた袋が落ちたように、ドス、とゴツ、の音が混じった、異様な音が辺りに響いた。


理解した、周囲の人間の、悲鳴。

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