ワケアリ(オカルトファンタジー)



二階から、そして下が花壇の柔らかい土であったことから、軽い脳震盪と、手首のヒビのみの怪我で済んだ。


しかし、後数十センチずれていたら花壇のレンガに身体のどこかを打ち付けていただろう。


茜は脳に伝う衝撃に、暫く起き上がることは出来ず、騒ぎを聞きつけた教師の問いかけに小さく答えることしか出来なかった。


現場は一時騒然とし、数分後、到着した救急車に病院へと運ばれた。


教師や医師や何故落ちたのか、と問われたが、それは茜が聞きたかった。



「誰かに背中を押された」



茜はそう証言したが、背後には誰もいなかった。


それは周りを歩いていた生徒達が証言していた。


一部始終を見ていた生徒は、急に、茜が前につんのめって落ちたと証言していたらしい。


しかし茜は背中とスカートのウエストを持ち上げられたときに締まった腹の痛みをちゃんと覚えていた。


ただ、視界に入った一瞬の黒い影は、覚えてはおらず頭を悩ませていた。


結局バランスを崩した茜が誤って落ちた、という見解となり、学校には窓に格子が付けるようにと警察からお咎めがきた。


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