ワケアリ(オカルトファンタジー)
火傷は負った足の皮膚は赤く、そして黒く爛れている。痕は消えないだろうと医者に言われた。
まるで、焼いたトマトのようなズルリと剥けた皮と、黒く焼けた中身を覗かせるその脚は、自分でさえも目を覆いたくなるほど気持ち悪い。
そして、風が吹いただけで起こる突き刺すような痛みが、冷やしても引かない。
動かすことなどできないし、触れたら気が狂い脂汗が出るほどに、痛い。
水で冷やしていても、水が少し波立って傷口に襲いかかるその普段なら何気ない気付かないほどの水圧の刺激も、ナイフのように突き刺さった。
長時間正座をし続けた脚の痺れている所を触られるあの感覚に似た、それ以上の、痛み。そして苦痛。
地元から随分と離れた、地方にある小さな外科で、茜は同じ国立病院で起こった火事で怪我を負った人たちと一緒に搬送され、手当てを受けていた。
茜は、思い返す。
自分が校舎の二階から落ちた経緯を考えている間に眠ってしまい、不意に聞こえた叫び声で目を覚ますと、目の前に火柱が上がっていたところを。
ガソリンが撒かれていたかのように、何の躊躇いもなく襲い掛かる炎によって燃えた布団に、脚を焼かれ、パジャマも火を纏い、必死でベッドから転げ落ちるようにして出ると、パジャマの火を消して、病室から逃げ出した。
丁度、看護士がその怪我の酷さを見て、負ぶって外へと逃がしてくれたお陰で生き延びることが出来たが、病院内は地獄と化していた。