ワケアリ(オカルトファンタジー)


「女って、…前の奥さん?」



「そうだ」



「ていう事はゾンビになる?」



「有り得る。もしかしたら下僕の方の女の怨念もあるかもしれない」



自分の見誤りに不愉快そうな表情のリオンを珍しげに眺めながら、チェスは思考を巡らす。


元妻と、下僕と、男の怨念の交じり合った、指輪。


永遠のループ。


巡る、縁。



「じゃあ、盗んでいった女の人もこの延々と怨霊ループに巻き込まれてくんだね」



「そうだな、死ねればの話だが」



「え、死なないの?」



「暫くは死なんだろう。人間はゴキブリに似た生命力だからな、それに今の科学の発展は著しい。何度だって再生される。男が怯えた女の怨霊のようにな。そして男は段々とエスカレートしていく。前妻と下僕だった女たちの生きたいという思いと、男の殺したい。その意志が交じり合う指輪だ。今指輪をしている女が生きるほうを選べば、永遠の死なない程度の怪我。死を選んでも指輪に念が篭るだろうな……」



紅茶を啜る音が一つ。



「どれぐらいボロボロになっても人間は生きてられるのか、ちょっと気になるなぁ」



「人間は元々人工物だからな…人工物のチューブなんかと相性はいい。金さえ積めば幾らでも生き延びていられるだろう」



「でもそれって人間じゃないよね」



「科学に溺れ自然を捨てた人間には、そんな生き方がお似合いだとは、思うがな」













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