ワケアリ(オカルトファンタジー)
永遠の宝箱
ワケアリ No.6
『永遠の宝箱』
色素の薄い茶色の髪を少し伸ばし、後ろで一つ潜りにしている十四歳ほどの少年は、家の青々とした芝生の上で、昔買ってもらったお気に入りの木と紙で作られた飛行機を飛ばしている。
少年の腕から投げるような形で、手から離れ、小さくて頼りないプロペラを回転させながら、茂る芝生の上をおっかなびっくり飛び回る飛行機。
熱中しているのか楽しそうに目を輝かせながら首を傷めるのではと言うほどに飛行機を見上げ、追いかけては、落ちた飛行機をまた風に乗せて飛ばす。
のどかな住宅街の、一つの家。
木漏れ日が家を、庭を、少年を照らし、何とも穏やかな時間がただ過ぎていた。
「エル!エルヴィス!」
柔らかく透き通った声に飛行機は、揺らめき、墜落した。
そして先ほどのようにもう一度風に乗せられることはなく、放置された。
「何、お母さん!」
エルヴィスと呼ばれた少年はそう返すと、飛行機の墜落など興味を無くし、自分を探して庭へとやって来た美しい女性へと走り寄っていった。
エルヴィスに受け継がれた色素の薄い茶色の髪色をした母親、ロイスは走り寄るエルヴィスの頬をやさしく撫でる。
そして14歳にしては少し低めの156cmのエルヴィスにあわせて少し身体を折って、エルヴィスの視線と高さをあわせると、ロイスは微笑みながら言葉を続けた。
「お父様が帰ってこられるわよ」
「本当!?」
『永遠の宝箱』
色素の薄い茶色の髪を少し伸ばし、後ろで一つ潜りにしている十四歳ほどの少年は、家の青々とした芝生の上で、昔買ってもらったお気に入りの木と紙で作られた飛行機を飛ばしている。
少年の腕から投げるような形で、手から離れ、小さくて頼りないプロペラを回転させながら、茂る芝生の上をおっかなびっくり飛び回る飛行機。
熱中しているのか楽しそうに目を輝かせながら首を傷めるのではと言うほどに飛行機を見上げ、追いかけては、落ちた飛行機をまた風に乗せて飛ばす。
のどかな住宅街の、一つの家。
木漏れ日が家を、庭を、少年を照らし、何とも穏やかな時間がただ過ぎていた。
「エル!エルヴィス!」
柔らかく透き通った声に飛行機は、揺らめき、墜落した。
そして先ほどのようにもう一度風に乗せられることはなく、放置された。
「何、お母さん!」
エルヴィスと呼ばれた少年はそう返すと、飛行機の墜落など興味を無くし、自分を探して庭へとやって来た美しい女性へと走り寄っていった。
エルヴィスに受け継がれた色素の薄い茶色の髪色をした母親、ロイスは走り寄るエルヴィスの頬をやさしく撫でる。
そして14歳にしては少し低めの156cmのエルヴィスにあわせて少し身体を折って、エルヴィスの視線と高さをあわせると、ロイスは微笑みながら言葉を続けた。
「お父様が帰ってこられるわよ」
「本当!?」