ワケアリ(オカルトファンタジー)
「機械ってやっぱダメなの?」
「多少使うくらいならいいだろう。だが、外で身体を動かすことを知らずに育てばその分免疫力は低下する。電磁波だって身体に無害とは言えんしな。それに自分で体験するよりも、知識は機械が持っている所為で、調べることや考えると言うことをしなくなる。そうなると脳は衰えていく。そしてゲームなんかは一人でも楽しめることから、対人関係を作らなくなる。結果、自分中心の世界でしかなくなる……つまり、他人のことを気遣う人間が減り、自分が正しいと思い込み簡単に人を殺す世界になるんだ」
「ふ、ふーん…凄い飛躍してるような気もするけど」
「強ち嘘でもないだろう。何年もかけて構築されていく未来の世界だから保障は無いがな」
買ってきた紅茶の茶葉を戸棚にいれ、食材を冷蔵庫に入れながらチェスは小さく呟く。
「自分が正義、かぁ」
「正義等、この世には無い。あるのは思い込みと偽善だ」
リオンは切って捨てる。
そんなリオンの言葉にチェスはどこか、物憂げに虚空を眺めて「そうかも」と呟いた。
「戦争はいけない、と吹聴しながら実際大した行動も取らず、高級料理店で美味い飯と酒を飲んでいる政治家も、それと同じだ。レベルを下げて言えば、ゴミを捨てるなと言う割りに、捨てられたゴミを拾わない人間とかな」
「確かに、ポイ捨てしてるの見るとヤな気分だけど……拾わないなぁ」
「人間などそういうものだ」
そんなもんか、とリオンの言葉にチェスは一つ納得を返した。
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