ワケアリ(オカルトファンタジー)



ソファについている、自分の手形のついた、赤い跡。


そして絨毯についた、見たこともない汚れ。


辿る汚れの先。


見慣れた、スカート。


見慣れた色素の薄い髪の色。


見た事のない、血塗れた顔。


どこか残る見慣れた面影。



「お、…かあ、さん…?」



そしてその奥には逞しい筋肉のついた、脚。


戦場で過ごすたびに力がついて、太く逞しくなった、脚。


その先には同じように筋肉がつき、エルヴィスと同じ男とは思えないほどに太く、大きい腕が、あるはずだ。


その脚と腕を持っているのは。



「おとう、……さん…?」



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