ワケアリ(オカルトファンタジー)
少し疲れた声で、エルヴィスはそう問いかけると、男は突然無遠慮に門を開けるとずかずかと庭へと入ってきた。
綺麗に整えられた青い芝生を何の感動も無く、悪びれる様子もなく、その黒いブーツで踏みつけエルヴィスの元へとやって来る、男。
まるで葬式にでも着たのかと聞きたくなるほど身に着けている洋服全てが黒で統一され、アクセサリー類は全てシルバーだった。
黒く長いストレートのその髪の間から覗く、真っ黒のその瞳はエルヴィスを真っ直ぐと捕らえた。
「……殺したな」
低い、声。
「…悪者なんだ、僕の両親を殺した、悪者。僕、ヒーローになったんだよ、お父さんと同じで」
「両親を殺したのはお前だ」
「…え…?」
その隙にずかずかとまた無遠慮に窓からキッチンへと侵入すると、男は何かを探すように一瞬辺りを見渡し、エルヴィスの宝箱を掴んだ。
エルヴィスは男の服を掴んで抗議する。
「返してよそれ、俺のだ!」
「ふん……子供が持つには些か荷の重い代物だな」
「…どういうこと?」
男は宝箱を机の上に置いてリビングへと入っていった。
そこには死体が三つ。