ワケアリ(オカルトファンタジー)
「…へ?」
「死と言う糸に絡まった人間は絶対に逃れられない。俺たちはその糸に人間を送り込み、絡まりもがき苦しんで死んでいく様子を観察するだけでいい。そして絡まった人間は糸そのものになり新たな人間を絡めて行き、死は膨らんでいく」
「…それ本当に面白いの?」
「面白い。操り人形はそのままでも面白いが、人形師が動かしている所を含めてみると面白さが膨らむ。そして俺がその糸を繰る人形師、お前は観客、他の人間は全て人形だ」
それから、エルヴィスはリオンと名乗るその黒尽くめの男と、生活を共にする事に決めて歩き出す。
名前は「チェス」と言う名前をリオンが新しくくれた。「何手も先を読み、駒を進めるチェスのように全ての先手を取る人間になるように」と。
伸ばしていた髪も短くして、チェスはエルヴィスを捨てた。
そして歩いた。ただ、宝箱を一つ、手に提げて。
血がボタボタと滴り落ちる宝箱を大事そうに抱えて。
今から、100年ほど前の話。
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