ワケアリ(オカルトファンタジー)




「あ、おかえりー」



ベルの音を聞きつけて、調度品の手入れをしていた少年が、声をかける。


ここはリオンの店。


全体を焦げ茶の壁や床、濃いオレンジ色の電灯に統一されたこの店は、色んな国を転々と、長い年月を掛けて店を開いたり閉めたりし、今は日本に落ち着いている。


アンティークショップと思われがちだが、言って見ればただの呪われた雑貨を売る店。


もう少し詳しく説明するならば、リオンの舌を満足させるような、憎しみなどの不の感情一色に近い魂を作るために開かれた店だ。


この店の商品は全て無料。そして貰っていけば、最後。ほぼ確実に、死んでいく。


そんな異様な店だが、ここの所繁盛している。


本当は普通の人間にはこの店は見えない仕組みになっていて、条件を満たした人間のみが見つけることが出来るのだ。


その条件は、商品に呼ばれた人間。


そんな条件があるのだが、最近はよく人の出入りがあり、雑貨などが貰って行かれ、見事、「恐怖」や「憎しみ」「恨み」などの感情をいっぱいにして、死んでいった人間達の魂を沢山回収することが出来ている。


小食なリオンにとっては丁度いいくらいである。



< 202 / 260 >

この作品をシェア

pagetop