ワケアリ(オカルトファンタジー)
「数えたこともないな……500年前くらいか?」
「うわぁー……おじいちゃん通り越してるのに見えないね」
「お前も似たようなものだろう」
『おじいちゃん』という言葉に些か不愉快そうに眉をピクリと動かしながらも、すぐに彼は『無』に戻る。
それが彼の常。笑う事もあまりないし泣くことも無ければ怒ることも殆ど無い。
チェスが知っている限りでリオンが怒ったときと言うのは、一度チェスが店の商品に悪戯したときくらいなものだ。
折角新しい憎しみを生む商品を手に入れてきたというのに、チェスがその呪いに掛かってしまい、その呪いを解いた所為で商品は使い物にならなくなり、手放す羽目になってしまったのだ。
その時を除けば殆ど感情の起伏のない人間、もとい死神である。
「リオンって人間として生きてたことあるの?」