ワケアリ(オカルトファンタジー)
力が抜けすぎて、その場に膝をついて座り込んでしまいそうなほど、脚はガクガクと震えていた。
『フフフ』
声が、
『みぃつけた』
耳元で。
「…………あ、…」
背中に大きな衝撃と、少し遅れて、し辛くなった呼吸に気付いて私は恐る恐る自分の身体を見る。
胸の隆起の、丁度間、心臓が、あるはずの場所に、変な出っ張りがある。
一歩遅れて、服が赤色に染まっていく。
乾いた鉈がアスファルトに落ちる音が、遠くで聞こえた。
水に濡れたような、「グシュリ」という音とともに出っ張りは引っ込んだり、出っ張ったりを繰り返し、体内をかき乱すおぞましい感覚が全神経を伝って、身体中に走った。
『貴方は私のもの、私の身体になるの』
身体の中を何かが侵入してくる気配を感じて、それ以上は、途絶えた。
*