ワケアリ(オカルトファンタジー)
全体を焦げ茶の壁や床、濃いオレンジ色の電灯に統一された、その店。
所狭しと並べられている調度品は、いつものように少しの疵や埃を身に纏いながらその店の中でひと時の安息を得ていた。
そしていつものようにチェスがリオンの飲みたい紅茶を作り、いつものようにリオンは本を読み、チェスはおやつを食べたり、店の商品である呪われた調度品たちを磨いたり、意味もなく数えて数の確認をしたりして。
たまに商品に呼ばれた哀れな人間がそのドアを開け、悪夢への入り口へと進み、後は死に逝くその運命をただ観察する。
そんな毎日を変わらずに過ごす予定だった。
それは長らく変わらなかった毎日の日課であり、それ以上でもそれ以下でもない毎日の日常でもあった。
チェスもリオンも、その時まではそんな毎日がまた続くものだと思っていた。