ワケアリ(オカルトファンタジー)
『鬼ごっこ、しましょう?』
「うわ、しゃべった!」
チェスは思わず落としそうになったファイを、何とか落とさないように持ちこたえた。
しかし先ほどのように抱いているのも怖いのか、両手を伸ばし、出来るだけ体から離して人形を運んだ
リオンは平然とした口調で、答える。
「喋るさ、魂が移りすぎた所為だ」
やがて家兼店についたリオンはいつもの如く、指定地に腰を下ろすと読みかけていた本を開く。
チェスは人形を棚に置いて、そそくさとキッチンへと向かうと、雑用ついでに薄気味悪い人形から離れた。
「チェス」
「何?」
「ジャスミンティー」
「はーい」
そこへ、酷く背の低い少女がやって来た。