ワケアリ(オカルトファンタジー)


『鬼ごっこ、しましょう?』



「うわ、しゃべった!」



チェスは思わず落としそうになったファイを、何とか落とさないように持ちこたえた。


しかし先ほどのように抱いているのも怖いのか、両手を伸ばし、出来るだけ体から離して人形を運んだ


リオンは平然とした口調で、答える。



「喋るさ、魂が移りすぎた所為だ」



やがて家兼店についたリオンはいつもの如く、指定地に腰を下ろすと読みかけていた本を開く。


チェスは人形を棚に置いて、そそくさとキッチンへと向かうと、雑用ついでに薄気味悪い人形から離れた。



「チェス」



「何?」



「ジャスミンティー」



「はーい」



そこへ、酷く背の低い少女がやって来た。




< 26 / 260 >

この作品をシェア

pagetop