ワケアリ(オカルトファンタジー)
あの日、私は怒っていた。
ファンの子に、過剰なサービスをする奏が許せなかったのだ。
時期的に、もうすぐインターハイで過剰なトレーニングをこなす奏は、何処かで休める場所がほしかったのだろう。
私は彼女の専属ではないから勿論他の選手のマネージャーも勤める。
甘えたい病が出たのだろう、奏は一人の女の子を抱きしめて「疲れたよー」と甘い声を出した。
男っぽい彼女が、そんな甘えた声を出せば、女なんてイチコロだ。
甲高い悲鳴が聞こえて、私はそれを見てしまったのだ。
その時の不愉快そうな私の顔を見て、奏は悪戯がばれた子どものような表情を返した。