ワケアリ(オカルトファンタジー)
毎日毎日、家では学校に行く振りして、学校では病気の振りをして外をふらついていた。
何回目かになる、サボり。その日は降りたこともない駅に降りてその周辺を暇を潰して歩いていたら、一つの店を見つけた。
外装からして洒落たお店で、店の名前の書かれた看板などはなかったけれど、何処か不思議な雰囲気を漂わせたその店に、私は恐る恐る、脚を踏み入れた。
どうせあと何時間も行く当てもなく歩かねばならないのだ。学校へ行っている振りをして。
その店の中では掃除中だったのだろう、雑巾を片手にこちらを見て挨拶をした十代前半ほどの少年と、黒尽くめの男の人がいた。
とても綺麗な人だったけど、愛想はなく、何を探しているのかと聞かれたけれど、適当に答えて店の中を徘徊した。
高そうな店。
値札もないし、妖しい。
早々に出て行こうかと思っていたが、一つの棚にあった鈴を見て、私は足を止めた。
鈴は、奏。
そんな方程式が私の中で出来ていた。