ワケアリ(オカルトファンタジー)
奏が死んでから動きを止めて、奏と同じように死んでしまっていたと思っていた心臓がまた新たに息を吹き返して活動を再開したように、バクバク、と今までの休憩の代わりを務めるように激しく動いた。
いくらだろう。
値札を探したが、何処にもなかった。
それでも、ほしかった。
もう鳴らなくなったあの鈴をもう一度聞いていたかった。
つけている人間がいなくとも、この鈴の音だけは、私のものにしておきたかったのだ。
値段を聞くと、必要ないと言われて、一瞬不審に思ったが、それ以上にこの鈴がほしくて、私はお礼を言って店を出た。
*