ワケアリ(オカルトファンタジー)



後ろから人に押されているように、ズルズルと脚が靴の底をすり減らしながら、進んでいく。


鈴の音がうるさいぐらいに響く。


目の前、3mもない前方を、車が猛スピードを出して走っていった。


その距離が段々と、縮んでいく。



『やっぱり、死んでくれてたのね…!』



耳元を、声が走る。


物凄く近い場所で、囁かれたその聞きなれない女の声は、私の背筋に悪寒を走らせた。





瞬間、





私の身体を押していた力はフッと消え、まるで浮いたように軽くなった。



気をゆるめた、その一瞬、強い力で背中を押された。





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