ワケアリ(オカルトファンタジー)
大人になれば分かってくれるだろうが……そんな複雑な思いで日々仕事に精を出していた。
娘の代わりに仕事を…それが更なる溝を生んでいつの間にやら顔すら合わせない日々が続いて、誕生日。
夜も遅いその時刻。高架下の居酒屋で飲んでいた彼はその事実に気付くと漸くと腰を上げた。
開いている店がないかと歩いていると、そこで見つけた、ぼんやりとしたオレンジ色の光。
近づいてみると、そこは小洒落たアンティークショップ、中古品店とも言える場所で、そんな店には珍しく未だ『OPEN』の看板が掲げられていた。
これ幸い、と店に入ると、そこには数々の調度品が並んでいて、いかにも高そうだった。
フランスやイタリアなどのアンティーク家具が所狭しとその身体を窮屈そうにして並んでいる。
そしてどこかその家具一つ一つが高飛車な雰囲気を醸し出していて、思わず目を背けた。
気品高い女性に不愉快そうに睨まれた感覚を覚えたのである。