ワケアリ(オカルトファンタジー)
プルルル… プルルル…
俺は電話には出ない。
あれはマスコミからの電話に違いないからだ。
俺の新刊と死んだ女子中学生、さらには殺されている被害者達が告示しているという理由で、マスコミからの問合せが殺到しているのだ。
多分出版社のほうがもっと大変だろう。対応に追われている所為で、奉もあまり顔を見せなくなった。
たまに顔を出しに来る時は両手にファンレターを持って、コソコソと隠れるように裏口から入ってきた。
その時は、最低限の食糧も持ってきてくれる。
俺の家の周りは常にカメラマンやリポーターが待ち構えていて、俺が外に出てきたときに一斉に取り囲んで質問の集中豪雨を浴びせようとしているのだ。
本当に迷惑な話だった。
よく本やマンガに感化されて…と、犯行を行う子どもがいるが、書いた作者としてはそれは迷惑以外の何ものでもないし、冒涜とも言っていい。
そんなことをされたら金輪際好きなものを書けなくなる。好きなものを書けないのは小説家にとって実につまらないことなのである。
子どもが大人の仕事を潰すんじゃない。
俺は何度目かの溜息をついた。