ワケアリ(オカルトファンタジー)
「間丘先生ー」
鍵の開く音がして、間抜けた声をあげた奉が両手いっぱいの袋を、背中にはパンパンに膨らんだリュックサックを背負って中に入ってきた。
「大丈夫か、奉。悪いな、こんなことまでさせて」
「それはいいんですが、先生。外の連中本当にしつこいんですよ!出たら絶対押し潰されますよ!」
「だろうな」
扉が開いたのをいい事に大声で名も名乗らず質問をぶつけてくるリポーターがいた。
それも何人も。
最初の一人が声をあげたのと少し遅れて、彼らは口々に質問を投げかけてきたのだ。
人と言うものは何故、他人の真似をしたがるのだろう。
そして人と言うものは何故、他人を支配したがるのだろう。
他人を縛り自分の理解下に置いて、理解できなければ「おかしい」と野次を投げ飛ばし、正当化しようとまっ平らなコンクリートで殴りつける。
バカらしいほどの、同じ顔をしたロボットが徘徊しているように思える。