ワケアリ(オカルトファンタジー)
結局俺は大した証拠もないし、何も知らない。感化された子どものことなど、いちいち気にしていられない、と断言し、警察を出た。
俺が釈放されたのはマスコミに張られていた所為で外にも出ていないので、被害者を殺しに行く事ができなかったからだろう。
長かった聴取も終わり、家でグッタリしていた俺は元気を貰おうかとファンレターを眺める事にした。
それは事件に感化された子ども達の所為で作品の販売が遅れるのでは、と心配する声が多数寄せられている。
その中に一通の白い封筒が目に入った。
何故かそれに惹かれた俺は、その封を切って、中の紙を取り出す。
そこには、たった一行の文字が書かれていた。
ゾッとした。
それと同時に、俺は、大量の封筒の中から何故この封筒が気になったのか、理解した。
そこには、切手も宛名も、差出人も書かれていない、まっさらな封筒だったからだ。