ワケアリ(オカルトファンタジー)



その一瞬の、タイムラグ。


直後に痛みを通り越した衝撃と、文字通り、心臓を潰されたような痛みに呼吸がままならなくなり、俺は玄関口をのた打ち回った。


何故だ、何故こんな事に。


潰れていない、もう片方の目で必死に背後を見る。


そこには真っ黒いロングコートを羽織った、一人の人間が、恐ろしく闇夜に光る血塗れた鋏を片手に、立っていた。


裏口から、入ってくることが、出来るなんて。


直後、俺の身体はその鋏に無数の穴を開けられ、そこから血液が噴出し、その威力が収まりかけた時に、ジャキ、と刃と刃が擦れる異様な音が響き、俺の喉元に口を開いた冷たい刃が当てられ、
















ジャ、クッ………










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