ワケアリ(オカルトファンタジー)
それはとても綺麗な人形で目は大きく、金髪の緩やかなウェーブは艶やかで、着せられているドレスは皺一つない、いわば新品同様の人形だった。
人間のように、しかし、それ以上の美しさをたたえたその人形は、男の手の中で、真っ直ぐと前を見ていた。
大きさは一~二歳ほどの子供と同じ身長ほどはあるだろう、少し大きめの人形だった。
「これは…綺麗な人形ですね」
流石に、そんな感想が出た。
本当に吸い寄せられるかと思うほどに美しかった。
だがすぐに彼は首を横に振って、肯定的な意見を、否定的な意見に変えて述べた。
「だがしかし、こんな綺麗な人形はお高いでしょう。やはり諦めます。わざわざ済みませんでした」
そういって踵を返し、店を出ようとしたとき、声が聞こえた。