ワケアリ(オカルトファンタジー)
「最近よく自殺してますねぇ、間丘(マオカ)先生の小説みたいですね」
「俺の所為にするな」
「嫌ですよー、私。自殺現場に西宮出版の『放課後』があったとか騒がれるの」
そんな冗談を、本当になるかもしれない、冗談であって欲しい冗談を言ってお茶を入れるとそれを間丘に差し出す。
お茶菓子も取り出しながら、奉はこの話題を続ける。
「なんか、聞いた話によると、自殺した子って苛められてた子が多いみたいですよ?」
「へぇ…じゃあそろそろ魔物が出てくるってわけか」
「えぇー、止めてくださいよ。誰が退治するんですか!」
「ヒロインかな」
魔物なんてアニメやマンガの中の世界でしかない。
そんなものが現実になるとは思ってはいないが、奉は冗談交じりにペンを走らせている間丘を眺めていた。