ワケアリ(オカルトファンタジー)
目の前を少女が歩いている。私はその後ろをついて歩いている。
同じ方向へと向かう少女。
髪や耳や腕にジャラジャラと飾りをつけた派手なその少女は携帯を弄りながら歩いている。
自転車が来ても避ける気配はなく、終始携帯を見つめている。危なっかしいったらありゃしない。
さわ…
風が、鳴って、どこか懐かしい匂いが鼻腔を擽る。
その風は思い出せない遥か昔、前世の自分の周りをずっと包み込んでいた風のようで、不思議な懐かしさと同時に酷く心臓が高鳴った。