明日がくる前に、君に「好き」って言いたくて。
東雲くんは、不意を突かれたように目を見開いた。


でも、すぐに「なんで過去形?」と不思議そうにたずねてくる。


「だって、東雲くんって彼女さんがいるんでしょ……? 先週の金曜の放課後に、たまたま見かけたんだけど……」


言いかけたとたんに、その時の光景が昨日のことのようにはっきりと脳裏に浮かぶ。


あの日、学校から大通りに寄り道していた私は、東雲くんが女の子と並んで交差点で信号を待っているのを目撃してしまった。


相手の女の子は、他校のかわいい制服を着こなした、人目を引く垢ぬけた美少女。


東雲くんとすごくお似合いで、美男美女カップルってこの2人みたいなことをいうんだな、って。


胸がズキズキ痛むのをこらえながら、一人でそう納得したのを覚えている。


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