*クモリガラス*
「そっかぁ〜。そろそろ文集作る時期だからね」
昨日の話を聞いた恭ちゃんが、お弁当のウインナーをかじりながら私の顔を覗き込む。
「もしかして隣のクラス委員になんかヤキモチ?」
「そんなんじゃないけどっ。なんか…私は話しかけられたってそれにすらまともに答えられないから」
「逃げたしね」
「恭ちゃん!」
だって目が合うこともめったに無かったんだよ?
それがクラスも違う今、あんな風に話しかけてもらえるなんて。
「告白しちゃえばいいじゃん」
「ええっ!!何言ってんの。できるわけないよ!」
「なんで今赤くなるの。まだしてもいないのに」
「うぇ〜、意地悪…」
恭ちゃんはうまくいったからそんな簡単に言えるんだよ。
サトシくんはもともと恭ちゃんと仲の良かった相手だったし。
私と滝沢くんなんて
ほぼ他人だよ?