*クモリガラス*
私が恭ちゃんの前でいじけてると
「あ、滝沢〜。
今日の帰りどうすんのー?」
え!滝沢くん!?
うちのクラスにいるサッカー部の子が、廊下を通った滝沢くんに声をかけた。
ハッと見てしまった瞬間に、め、目が…合ってしまう。
わ〜っ!どうしよう〜!!
見たいけど見れない〜っ
私はとっさに視線をそらして、恭ちゃんのお弁当を凝視した。
「そんなに見てもあげないけど」
「そうじゃないよっ!
どこ見ていいか分からないの!」
「滝沢くん見とけばいいじゃん」
「好きなのバレるもんっ!」
「バレて欲しいんでしょ?」
「へ?」
恭ちゃんが私を見る。
そうだ…
いつか気づいてほしいから、私はずっとあの窓から見てたんだ。
伝わってほしいから、繰り返すように好きだって書き続けてたんだ。
でも…
「迷惑に思われるのはコワイよ…」
「そんな気持ち誰にだってあるよ」
恭ちゃんはお弁当のフタを閉じた。
「私だって、友達のままの方がいいって言われたらどうしようとか思ったし。気持ち伝えるのは誰だってコワイよ」
「恭ちゃん…」