*クモリガラス*


相変わらず曇った窓にはたくさんの落書きがあるけど、今日は窓を開けて滝沢くんが走る様子を見る私。



「はやーい、すごーい…」



冷たい風が通るグラウンドに滝沢くんの息が白く走ると、溜め息と一緒になって私の息も白く飛んで行く。



言える…?
言えるわけないよ。

やっぱり私と滝沢くんじゃ、全然雰囲気が違うもん。



気持ちを伝えるのがコワイとか言う前に、伝えたって合わないんじゃ意味ない。



「ちょっと!蓮ー!!」


「わかってるってー」



マネージャーさんかな。

私もマネージャーやれるくらい活発な女の子だったら

あんなふうに滝沢くんを名前で呼べたのかな…



そう思いながら眺めてると。





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