*クモリガラス*
緊張しすぎて、また逃げてしまいそうになる。
でも、ドキドキしすぎて動けない。
滝沢くんは教室に入ってくると、そのまま窓の近くまで歩いて
私の隣で、いつもの私と同じように、グラウンドを眺めた。
「うん、かなり見渡せるな」
「な…にが?」
「サッカー部の練習がよく見える。…誰か好きな奴がいるの?」
ドッキーーーン!!
いきなりの滝沢くんの問いかけに、私は息を吐くのすら忘れた。
やっぱり滝沢くんといると、いっぱいいっぱいになっちゃって息苦しい。
でも…
それが心地いい…
私がただ黙ってると、滝沢くんは首を傾げて聞いてくる。
「なぁ原田、
もしかしてオレのことコワイ?」