*クモリガラス*
同じクラスの時は、もちろん教室でもずっと見てた。
机の上に座って友達と大笑いしてるとこも、授業中の真剣な顔も。
時々ふざけて、寝てる時もあったかな。
とにかく
全部が大好きだった。
私はクラスでも大人しい方だったし、目立つ感じの滝沢くんとは当然関わりも少なかったけど
一緒な空気の中にいる時間が、ちっぽけだけど嬉しくて。
「私のことなんて、きっと覚えてないんだろうなぁ」
「ちょっと。お世辞でも郁が目立ってたとは言えないけどさ、さすがにクラス変わったからって忘れられるほどじゃないよ?」
「へへっ、そうかな」
でも、あまりにも私と滝沢くんではタイプが違ってたの。
明るくて人気者の滝沢くんと、いるかいないかも気付かれない私。
だから、ほとんど話すこともなかったな。