*クモリガラス*

あまりの急さに、どこに視線を持ってっていいのか。

私は思わず足下の廊下を眺めた。



「…あ、原田 郁」


「えっ!?」



いきなりのフルネームで驚く。

ちがう!
滝沢くんに呼ばれて驚く!



「はっ…、はいっ!」



私の裏返った返事に、滝沢くんも驚いた。



「え…(汗)
いや、別に返事はいらねーけど」


「あ、わーっ!ごめんなさいっ」



何を謝ってるんだろう。

しかも滝沢くん、困った顔でそこに立ってるし。



私はサッと後ろを見て教室の窓を確認した。


ドキドキ…


さっきの文字
ちゃんと消したよね?






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