ちゅっ
ーー
ちゅっ
今、何か聞こえた?
何の音だろう。
目の前が真っ暗で。
身体がずしんと重くて。
よく分かんなくて。
意識を放り投げた。
そんな私の前に差し出された手。
ちゅっ
という、
懇願するような、
執着するような、
そんな音が、かすかに聞こえた。
直感だった。
起きなきゃって、思った。
微かな音の中に聞こえた、強い願いが、
私の心に突き刺さる。
私は縋るような思いで、
その手を握りしめた。
ーー
カチコチ…、カチコチ…、
やけに響くアナログ時計。
強い薬品の匂い。
白い天井。
あぁ、ここ、病院かーー。
ふと顔を左に向けると、私の手を握りしめて、静かに泣いている人がいた。
「はるっ……、き……? ……。」
春くんは一瞬目を大きく見開いたが、すぐに安心したような、優しい笑顔になり、
「明菜……、目、覚めたんだね……。本当に、よかった……。」
「……、ありがとう、春希。」
「明菜が目覚めてくれて、本当に嬉しいよ。安心し……
ガラッーーーー、
「春希、春希‼︎ 今花織さんが、目を覚ましたわよ! 」
「母さん、本当……⁉︎ 」
「よかったな、明菜。」
「うん……、本当に……。」
自分ごとのように、安心して笑ってくれる春くん。
目を覚まして初めに見たのが春くんだなんて、私は幸せ者だ。
ちゅっ
今、何か聞こえた?
何の音だろう。
目の前が真っ暗で。
身体がずしんと重くて。
よく分かんなくて。
意識を放り投げた。
そんな私の前に差し出された手。
ちゅっ
という、
懇願するような、
執着するような、
そんな音が、かすかに聞こえた。
直感だった。
起きなきゃって、思った。
微かな音の中に聞こえた、強い願いが、
私の心に突き刺さる。
私は縋るような思いで、
その手を握りしめた。
ーー
カチコチ…、カチコチ…、
やけに響くアナログ時計。
強い薬品の匂い。
白い天井。
あぁ、ここ、病院かーー。
ふと顔を左に向けると、私の手を握りしめて、静かに泣いている人がいた。
「はるっ……、き……? ……。」
春くんは一瞬目を大きく見開いたが、すぐに安心したような、優しい笑顔になり、
「明菜……、目、覚めたんだね……。本当に、よかった……。」
「……、ありがとう、春希。」
「明菜が目覚めてくれて、本当に嬉しいよ。安心し……
ガラッーーーー、
「春希、春希‼︎ 今花織さんが、目を覚ましたわよ! 」
「母さん、本当……⁉︎ 」
「よかったな、明菜。」
「うん……、本当に……。」
自分ごとのように、安心して笑ってくれる春くん。
目を覚まして初めに見たのが春くんだなんて、私は幸せ者だ。