ちゅっ
 俺は今日も、松谷親子のお見舞いに行く。


事故があってから、もう4日経つ。

冷静にはなれているけど、やっぱりふとした時に、不安が心を支配する。




このまま二人が目覚めなかったらどうしよう。





今日は、バスを途中下車した。

松谷親子が気に入っている、老舗の和菓子屋に寄るためだ。


そこで明が好きな、おまんじゅうの詰め合わせを二つ買った。

俺はそれを持って、再度バスに乗る。

ブロロロロロ……。






病院に着いた。



コンコンッ


「花織さんっ……、目、開けてください。花織さん……。」

「……。」


目は、閉じていた。


俺はベットの脇のテーブルにおまんじゅうの詰め合わせを置くと、静かに病室を出た。





コンコンッ


「明……、今日はお菓子持ってきたぞ。お前の好きな和菓子屋のだぜ。……。明……。」

「……。」


相変わらずの、安らかな顔。返事なし、か。

おまんじゅうの詰め合わせをそっと置くと、

俺はすぐに病室をあとにした。








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