【書籍化】もふもふ聖獣と今度こそ幸せになりたいのに、私を殺した王太子が溺愛MAXで迫ってきます

ずっと城に篭りきりで、あらぬ噂を流されて令嬢達に避けられていたフランチェスカはキャシディの噂についてはじめて耳にすることになる。
確かにフランチェスカが思っている以上に恐ろしいものだった。
キャシディの周囲にいる令嬢達も異様なほどにキャシディを気遣っているように見えた。
ヤナにも実際にこの噂が真実なのかどうなのかは聞いただけなのでわからないらしい。
しかしフランチェスカも何度か感じていた恐怖や違和感は気のせいではないのだろう。

　(キャシディ様とマレーには、やっぱり何かがあるのかしら)

フランチェスカはキャシディの存在と同じでグレイシャーのことも気掛かりだった。
グレイシャーはフランチェスカにとってシュネーと同じくらい大切な存在だ。
グレイシャーは公務以外で滅多に外に出てくることはない。
となればフランチェスカが城に出向かなければならないのだが、その時にグレイシャーに近づく言い訳が思い浮かばなかった。

(……邸に帰ってマラキに相談してみましょう)

疲れからかフランチェスカは馬車の中ででシュネーを抱きしめながら眠っていた。
ヤナに声を掛けられてエディマーレ男爵邸に着いたことに気づく。
痛む体を伸ばしてから久しぶりの我が家にホッと息を吐き出した。