【書籍化】もふもふ聖獣と今度こそ幸せになりたいのに、私を殺した王太子が溺愛MAXで迫ってきます


「父上は俺の婚約者を探し始めてグレイシャーの体調がよくなったことで、俺に婚約者がいないことが原因だと決めつけてしまったんだ」

「そうなんですね」


「俺にはグレイシャーがそのような理由で具合が悪くなったとは思えない。けれど父上は聞く耳を持たない。だからなんとか今回の件でグレイシャーがの体調がよくなれば、馬鹿げた思い込みを変えられる」


レオナルドは苦しげにグッと唇を噛んだ。
グレイシャーが心配そうにレオナルドを見つめている。
レオナルドはグレイシャーに「すまない。大丈夫だ」と言って笑みを浮かべた。

そしてフランチェスカはブラシを動かす手を再開する。
グレイシャーの白銀の毛が宙に浮いているのだが、シュネーはふわふわと浮かぶ毛を追いかけ回している。
そんな微笑ましい二匹の姿を見て顔を合わせて笑った後、レオナルドと目が合ったフランチェスカはすぐに逸らした。
気まずい沈黙が流れた。
そしてレオナルドは思わぬことを口にする。


「君が俺の婚約者だったらいいのに……」
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