【書籍化】もふもふ聖獣と今度こそ幸せになりたいのに、私を殺した王太子が溺愛MAXで迫ってきます
「まずは苦しんでいる令嬢達の聖獣を救いに向かいたいです!」
フランチェスカが勢いよく立ち上がる。
「だけど姉上は今、キャシディ様にマークされている状態だ。このまま行くのは危険だよ……!」
マラキがフランチェスカを引き止めるようにワンピースの袖を引いた。
瞳に涙を浮かべて必死にフランチェスカを引き止めるマラキを見て、フランチェスカはマラキを抱きしめた。
「大丈夫よ、マラキ」
「ダメだ……!」
「でも苦しんでいる子達を放っておくことはできない。聖獣を失う苦しみは誰よりもわかるもの」
「……姉上?」
心配そうなマラキを見て、フランチェスカは安心させるように笑った。
「せめてキャシディ様とマレーがどうやって聖獣を苦しめているか証拠を掴めればいいのに……」
レオナルドはマラキの言葉を聞いて考えこんでいるようだ。
「フランチェスカ嬢、暫くは城に住んでみないか?」
「え……?」
「聖獣を治療するのなら、令嬢達に登城してもらった方がフランチェスカ嬢を守りやすい。キャシディが突然、エディマーレ男爵邸を訪れたら守れないし逆もそうだ。公爵家の令嬢であるキャシディの要求を堂々と跳ね除けられるのは王家だけだ」