【書籍化】もふもふ聖獣と今度こそ幸せになりたいのに、私を殺した王太子が溺愛MAXで迫ってきます
フランチェスカも同じ気持ちだった。
一日、一日と積み重ねるたびに彼との思い出は増えていく。

こうしてふたりきりで過ごす時間はかけがえのない時間になっていた。
時が戻る前にはふたりを阻む壁がたくさんあった。
本当はこんな関係で穏やかに過ごせていたのだと思う度に涙が滲む。

レオナルドの腰には今もあの時の剣が携えてある。
代々、王家に伝わる剣で闇を祓うとされているそうで、隣国に行く機会も多く、グレイシャーを連れて行けない時に身を守るために大切になるものだとレオナルドから教えてもらったことがあった。
女神ロドアルードからの贈り物として、グレイシャーと共に受け継がれている。

この剣を見ても以前のように腹部が痛むことはなくなった。レオナルドと共に過ごす時間は、ポッカリと空いていたフランチェスカの心の穴を埋めてくれた。
フランチェスカとレオナルドは満天の星空を見上げながら今日も話していた。


「この件が解決したら、俺との関係を真剣に考えてくれないか?」

「……レオナルド殿下」

「共に過ごしていくうちに、やはり君しかいないと思った。俺は結婚するならば絶対に君がいい。フランチェスカしか考えられない」


手を握りながらこちらを真剣に見つめるレオナルドの姿を見て、フランチェスカは瞳を伏せた。
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