【書籍化】もふもふ聖獣と今度こそ幸せになりたいのに、私を殺した王太子が溺愛MAXで迫ってきます
「──イヤアアァァアァッ!」


貴族で聖獣を失った末路は決まっている。
契約した聖獣は肉食獣でもなく、さらに契約したばかりの聖獣すらも失ってしまった。

(これは夢っ、これは全部夢なのよ!こんな現実消えてしまえ……!)

頭をかき乱してキャシディは身を縮めていた。
空からは雨が降り出し、キャシディは自分の聖獣も全てを失って絶望して雨はさらに強くなり、どんどんと体温が奪われていく。
どのくらいそうしていただろうか。
キャシディの耳にどこからか声が届いた。


『タスケテヤロウカ……?』


肌がゾワリと栗立つような声だった。
声がした方に視線を移すと、そこには先程消えてなくなったはずの白蛇がいた。
雨の中、消えてしまった白蛇が目の前にいた。
瞳はエメラルドグリーンではなく血のような赤だったが、先程と同じ蛇だ。
しかしその後ろに影が見えた。
大きな蛇の真っ黒な影がキャシディに襲いかかる。


『ワタシノテヲトレ。スベテヲテニイレル』

「全てを……?」

『スベテガ、オマエノノゾムママダ……コノクニヲシハイスル』
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